フィンランドの美術 神話が息づく自然の国展
会期 | 2003年7月18日〜9月7日(山口) 2003年9月20日〜11月24日(群馬) 2004年3月14日〜4月11日(仙台) |
会場 | 山口県立美術館 群馬県立館林美術館 せんだいメディアテーク |
主催 | 山口県立美術館 群馬県立館林美術館 せんだいメディアテーク 朝日新聞社 |
協賛 | コネ・コーポレーション フィンランド美術交流基金 |
後援 | フィンランド大使館 フィンランド文化センター |
特別協力 | ヘルシンキ市立美術館 山口県立美術館 |
概略
フィンランドは、中世以来スウェーデンの支配下にありましたが、19世紀初頭に自治権をもつ大公国としてロシア帝国に帰属しました。19世紀中頃、エリアス・リョンロットは、フィンランド東方のカレリア地方で語り継がれてきた神話、英雄伝説、古民謡などを採集し本にまとめ『カレワラ』と題して出版しました。この一大叙事詩は、民族的自覚が高まりつつあった当時、フィンランドの人々の魂のよりどころとなり、美術・音楽・文学などフィンランド文化に深い影響を与えてきました。
今回の展覧会では、『カレワラ』に代表されるフィンランドの神話をキーワードに、19世紀から現代までのフィンランド美術の流れを紹介します。『カレワラ』の刊行によって自国の神話や自然の姿に対する興味が高まったかつてのフィンランドも、今日では、高度情報化時代の最先端に位置する国へと変貌しています。人々の生活は大きく変化し、自然に対する考え方・感じ方も劇的に変化したことでしょう。しかしその一方で、フィンランドの現代美術のなかには、自然のなかに息づく神話的な要素が蘇り、あたかも民族の遠い記憶の痕跡を表現したような作品も目にすることができます。19世紀から今日までのフィンランドの美術の流れを神話というキーワードで見ていこうとする試みは、フィンランド人の心の奥底に沈んだ太古の記憶=神話をたどって彼らの心の風景を見つめてゆくようなものかもしれません。
日本では、主にデザインや現代美術の分野に限ってフィンランドの美術が紹介されてきました。しかし今回のように、神話をキーワードに19世紀から現代までのフィンランド美術全体の流れをトータルに紹介する展覧会は、今回が日本ではじめての開催となります。